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認知症

認知症とは

認知症とは、何らかの原因から脳の細胞が損傷を受けたり、その働きが悪くなることで認知機能が低下し、様々な生活のし辛さが現れる状態、またその状態が概ね6か月以上続くことを指します。

なお、認知症のような症状が出ても、実際は治る病気であったり、一時的な症状である可能性もあるため、できるだけ早く受診し、診断を受けることが大切です。

  • 正常圧水頭症、脳腫瘍、慢性硬膜下血腫
  • ⇒ 脳外科的処置で改善する場合があります
  • 甲状腺ホルモン異常、脱水(電解質異常)
  • ⇒ 内科的治療で改善します
  • 不適切な薬の使用
  • ⇒ 薬の調整で改善します

認知症の基礎知識

認知症の原因疾患

認知症の原因疾患としては、アルツハイマー病、脳血管障害、レビー小体病が挙げられます。

発症までの流れ

  • 脳の病気

    アルツハイマー病、脳血管障害、レビー小体病など

  • 認知機能の低下

    記憶力、判断力、言葉の理解力など、脳の働きが低下

  • 生活のしづらさ

    お金の管理、食事の準備、お薬の管理、掃除、洗濯、着替え、入浴、トイレ、外出などがしづらくなる

認知症の原因疾患割合

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年齢層別の認知症有病率

高齢になるにしたがって、認知症の人の割合は増加します。

年齢が5歳上がるごとに約2倍になり、85歳以上では約4人に1人が認知症を発症しています。

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軽度認知障害について

軽度認知障害(MCI)は、正常と認知症との中間にあたる段階、いわゆるグレーゾーンに位置しています。
軽微な認知機能の低下は認めらるものの、日常生活において自立した状態を指します。

MCIを放置すると認知機能の低下が続き、5年間で約50%の人が認知症へと進行します。
MCIは適切な治療・予防をすることで、回復したり、認知症の発症を遅らせることが出来る場合があります。

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認知症の予防

認知所を発症すると、完治は難しいとされています。
そのため認知症対策としては、発症のリスクを下げることが重要です。

確実に予防することは難しいですが、予防につながる習慣を取り入れることで発症のリスクが下がる可能性があります。

認知症の予防につながる習慣

  • ①運動(有酸素運動・筋トレ)
  • 有酸素運動(常に酸素を取り込みながら行う持続的運動)をすることで脳血流が改善し、脳細胞活性化につながります。
    例えばウォーキングやジョギング、水泳、ダンス、サイクリングなどを週に3~5回、1回につき20分~30分程度行うといったことが有効です。
    アメリカの研究では、1週間で10~15㎞のウォーキングをすることで認知症になる確率が50%減少したり、週に3回のエアロビクスをすることで記憶力のテストが33%向上したなどの報告が上がっています。
    また、神経伝達を鍛える筋力トレーニングも有効です。
    鍛える筋肉に集中して、脳と体の神経ネットワーク構築を促します。
  • ②デュアルタスク(ながら動作)
  • 2つのことを同時に行うことで、脳血流が改善されます。
    例として、料理の際に同時進行で複数の品をそろえる、必ず右手が勝つように一人じゃんけんをする、歩きながら引き算(100から7を引いていく。93、86、79、72…)等といった方法があります。
    文章を書く・読む、ゲームをする、博物館に行く、絵を描く、楽器を演奏するなど、知的行動習慣も効果的です。
  • ③バランスのよい食事
  • 糖尿病や高血圧、高脂血症(脂質異常症)は脳血管障害につながるため、認知症になるリスクが高まります。食生活を改善し、これらの生活習慣病を予防することで認知症の発症リスクを軽減することが出来ます。
    青魚に含まれるDHAやEPAには、悪玉コレステロールを抑える効果があります。
    大豆製品に含まれるレシチンは、中性脂肪を抑える効果があります。
    野菜や果物に含まれるビタミンには抗酸化作用があり、動脈硬化を防ぐこうかがあります。
    なお、認知症予防に良い食材だからといって特定のものばかり食べるのではなく、バランスよく食べることが大切です。
  • ④質のよい睡眠
  • 睡眠の改善や短時間の昼寝も有効です。
    眠っている間、脳は不要な記憶を整理し、老廃物を排出しています。その際、アルツハイマー病の原因の1つとされるβアミロイドも排出されます。
    適度な運動取り入れることで睡眠の質を上げたり、起床後2時間以内に太陽を浴びるといった方法があります。
    昼寝をする場合は時間は30分以内にしましょう。それ以上の昼寝は、夜間の睡眠状態を悪化させ逆効果になります。
  • ⑤社会交流・ストレス解消
  • 厚生労働省によると、スポーツ、ボランティア活動、趣味グループ活動等への社会参加の割合が高い地域ほど、転倒や認知症、うつのリスクが低い傾向があります。
    毎日誰かと会って、会話をするだけでも脳細胞が刺激されるため、様々な活動を通して楽しみながら、人と交流する機会を持つことが大切です。

認知症の発症リスクを抑えるためには、早め早めの認知症予防が大切です。
ただし、認知症予防が人生の目的にならないよう、楽しみながら生活を送りましょう。

アルツハイマー型認知症について

アルツハイマー型認知症とは

アルツハイマー型認知症とは、脳にアミロイドβという特殊なたんぱく質がたまり、それが神経細胞を破壊して、認知機能(記憶、判断力など)が低下する病気です。
多くの場合物忘れで自覚します。

原因

アミロイドβの蓄積は認知症を発症する十数年前から起こると言われていますが、蓄積が起こる原因は大きく分けて2つあります。
1つ目は運動不足です。運動をすることによってアミロイドβの蓄積が少なくなることが研究で明らかにされています。逆に、日頃から運動不足の方はアミロイドβが蓄積しやすい状態にあると考えられます。
2つ目は、認知的活動の減少です。日頃から考える・記憶する・判断するといった認知機能の活用を怠っていると、アミロイドβが蓄積し、認知機能の低下につながる可能性があります。

有病率

世界で最も多い認知症で、80歳以上では20%以上がアルツハイマー型認知症と言われています。日本でも認知症の約68%と最も多くを占めています。
また発症率には性差があり、女性は男性の約2倍と高くなっています。

治療

進行性であり、現在根本治療法はないと言われています。
病気の進行をできるだけ遅らせ、認知症の方がその人らしく暮らせるように支えること、そして家族の介護負担を軽減することが治療目標となります。
薬物療法では、行動・心理症状を抑える薬物を投与し、症状の緩和を目指します。一方の非薬物療法では、認知機能のリハビリや生活リハビリとして、音楽を聴く、昔のことを回想する、園芸を楽しむなどの取り組みが推奨されます。
また、患者の健康状態はアルツハイマー型認知症に少なからず影響を与えるため、健康管理も治療のひとつに数えられます。

※レカネマブという新薬はアミロイドβを取り除くことができ、症状の進行を抑えることが期待されています。
画期的な薬ですが、対象は早期発症に限られており、効果はそれほど大きくない可能性が高いです。病気を治癒させることは出来ません。

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